【読書_2冊目】初めての課長の教科書

書籍情報

項目 内容
タイトル はじめての課長の教科書
発売年 2008
読んだ日 2023/9/6
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

読んだ理由

経緯

  • 昔のバリバリエンジニアだった同僚が現在部長になっていて、おすすめしてくれた。
  • プレイヤーからマネージャーに移るので、ぴったりだと思った。

学びたいこと

  • マネージャーの心得
  • マネージャーの型

ざっくりと感想

課長とはなんぞやを改めて考えさせられた。
メンバーのモチベーションの向上と維持が最重要、社内政治での政敵との付き合い方、英語の勉強、読書あたりが刺さったかな〜
あとは、上司に情報をとにかく流すみたいなのは、今日からでもできるなぁと思った。

刺さった内容

1章 課長とは何か

課長とは、組織の中堅に位置し、より末端に近い組織構成員を管理する立場。グループリーダーやマネージャーとも呼ばれる。
課長とは、部下の功績や能力を評価することが正式に認められている最下位のポディション。
課長と部長の違いとは、課長にとって予算とは達成しなければならないもの、部長にとっては人を動かす政治的なツール。
部長は課長と違い「自分の専門外の知識を持った部下」を管理監督しなければならない。
現場の知識は、課長の方が遥かに多く、基本的に部長は「責任は俺が取るからあとは自由にやれ」というスタンスとなる。

課長と部長の違い

課長と経営者の違いとは、マネジメントとリーダーシップの違い。
優れたマネージャーであっても優れたリーダーであるとは限らずまた逆もしかり。

マネジャーの出発点は部下一人ひとりだ。マネジャーは部下の才能、スキル、知識、経験、目標といった要素を観察し、それをもちいて彼らがそれぞれ成功できる将来計画を立てる。マネジャーは、部下一人ひとりの成功に専念する。リーダーは違ったものの見方をする。リーダーの出発点は、自分が描く未来のイメージだ。よりよい未来こそ、リーダーが語り、考え、反芻し、計画し、練り上げるものだ。このイメージが頭のなかではっきりしたかたちをとって初めて、リーダーはまわりの人々を説得すること─私が思い描く未来で、あなたも成功できる─に関心を向ける。しかしそういった活動のすべてを通じて、リーダーが専念するのは未来である。

課長として最も大切なのは「部下のモチベーションを管理する」こと。
形式的な成果主義によって外側から圧力をかけて部下を動かそうとするのではなく、部下の内部から湧き上がるモチベーションを刺激することで、部下みじからが高い業績に向かっていくようにする。

部下のモチベーション管理にあたっては、モチベーションを高めることだけではなく、モチベーションを「維持する」という視点がとても重要になってきます。
部下を一人の人間として気にかけ、能力だけでなく、もっと人間性に興味を示してやるということが、お金よりも重要です。部下を、目標を達成するための「機能」として考えるのではなく、血の通った尊厳を持った一人の「人間」として扱うことが本質なのです。

成果主義では、メンバーを成果を出すための「機能」としてみるが、課長に必要なのはメンバーを「人間」としてみる必要があり、成果主義はここでは機能しない。
ただし、課長以上には成果主義を適応し、メンバーには成果ではなくプロセスを大切にするようなやり方が良い。

課長の大きな役割の一つに、異なる価値観を持つ世代間の「通訳」となることが挙げられる。
時に人はコミュニケーションでぶつかるが、顧客のことを大切に思う気持ちは、新旧世代のどちらでもカギとなる大切なものであり、これをキーにして新旧世代が歩み寄れるはず。
この思い出、異なる価値観を持つ世代を繋ぐのが課長。

課長には、情報が集まる。
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「役割分担が明確な企業」というのは、現場情報は経営者まではほとんど伝わらず、逆に経営情報も末端の社員に伝わることが少ない企業です。「フィルタリングによる情報量の減少が大きい組織」と理解してもいいでしょう
企業によって「風通しの良い企業」と「役割分担が明確な企業」という組織スタイルの違いはあっても、先にも課長の特徴として取り上げた(1)課長のところで経営情報と現場情報は交差し、(2)社内の情報は課長に向かって集まり、(3)課長は現場情報と経営情報をバランス良く持っている、という3つの事実だけは共通しているということは強調に値します。社内の課長が集う「課長会」が活発に行われるような「課長の元気が良い企業」こそが新時代を勝ち抜く企業に共通する特徴なのです。

この辺は、役割定義及びその染み出しの重要性であり、それをコントロールできるのが課長。という感じ。

課長は、例外を発見してそれに適切に判断を下すことができる力が求められる。

中間管理職は、ルーティン・ワークから逸脱するような例外をすばやく発見し、バランスの取れた決断を下すことが役割になります。

例外的な問題や機会の中には中間管理職として対処するには大きすぎるものも存在します。
それを判断するには、上場企業であれば「自社の株価に影響するようなレベル」、上場企業でなければ「マスコミに知られたら記事にされるようなレベル」
というのが簡単な目安になるでしょう。
基本的には、判断に少しでも迷うようなら、部長や経営陣に相談するのが良いでしょう。
中間管理職は、現場から「重要な現場情報」を引き上げ、それを「経営者が描いた大きなビジョン」をつなぐために知恵を絞る「ミドル・アップダウン」な活動をするのです。

まとめ

課長とは、部下のモチベーションの向上と維持が重要である。
課長は、「顧客第一主義」という共通の価値観を軸に世代間の価値観の通訳をする。
課長は、経営者が発信する経営情報と末端社員が持つ現場情報、2つの情報をバランスよく持つ情報伝達のキーパーソンである。

2章 課長の8つの基本スキル

スキル1 部下を守り安心させる

良い話題は、課長としての職務にはあまり意味がありません。むしろ「入金が遅れそうだ」といった「悪い情報」がどれほどすばやく部下から上がってくるかが、課長の死活問題となります。

部下も人間ですから、必ず失敗をします。しかし、課長が部下の失敗をそのまま部長や経営者に伝えてしまってはなりません。
もちろん同じ失敗を繰り返さないよう部下を指導することも大切です。
ですが、部下が失敗したことを社内で宣伝したとしても、誰もハッピーになりません。

部下が「何かあれば課長に守ってもらえる」という実感を持って、安心して業務に専念できるような環境を作ることが、最も大事。

スキル2 部下を褒め方向性を明確に伝える。

褒めるとはおだてるとは違う。褒めるとは、感謝の意を示しつつ部下の進むべき方向をはっきりと示すこと。
褒める際は、なぜ褒められたのかを正しく伝えることが重要。

まず部下の正しい行動を褒め、さらに小さいものでも部下が出した成果を、その部下の能力や実績と照らし合わせて評価する。
褒めるときは人前で褒める。
明らかなハイパフォーマーに対しては、褒め慣れているので、第三者から伝えてもらうのも手。
例えば、仲の良い顧客に根回しをして褒めてもらったりするのも効果的。

スキル3 部下を叱り変化を促す

人間は、自分から「変わる」ことにはあまり抵抗しないのですが、自らを誰かに「変えられる」ことにはとても強く抵抗する。
こっそり指摘する。失敗なしに成長はないので、これは誰にとっても必要なプロセス。
部下を叱る際は、「自分もかこにこういう失敗をした」とか「役員の〜〜もやっていた」などの言い方を入れると良い。

叱る場合のフェーズは、事実関係を確認する→問題に至った原因を究明させる→部下が気づかなければ、直接原因を伝え部下を叱る→感情のフォローアップをする になる。

スキル4 現場を観察し次を予測する

部下を監視するのではなく、注視する。
教育をしたら部下の能力を信頼し、部下の思う通りに仕事をさせるというのが現代的な管理手法。

スキル5 ストレスを適度な状態に管理する

ストレスには4つの段階があり、(超軽い、軽い、重い、超重い)、イノベーションが起きるのは重い時。基本は軽いと重いを行ったり来たりさせる。

スキル6 部下をコーチングし答えを引き出す

コーチングは、以下の目的で実施する。
潜在能力を引き出す。
思考プロセスを鍛える。
モチベーションを高める。

心構えとしては、以下。
部下の価値を認め、可能性を信じる。
秘密を固く守り、信頼関係を築く。

アドバイスや指示・提案はしない。YES/NOで答えられるような質問は避ける。「なぜ?どうして?」を聞くときは、非難の意味を込めない。

スキル7 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする

フローと呼ばれる、没頭状態にする。
フローは、以下の条件で発動する。
やることの目的とかちが明確になっている。
活動を自分でコントロールできる。
活動の難易度がちょうど良い。
活動中に邪魔が入らない。
活動の最中、その成功と失敗が明確になる。

スキル8 オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める

居酒屋コミュニケーションの時代は終わった。
業務の中で、居酒屋での会話のような雰囲気を作ったロングミーティングをする。

3章 課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム

予算管理、人事評価、社内政治。
予算管理は、全ての数値目標について説得力のあるストーリーを準備する。
人事評価は、部下のモチベーションを高めるコミュニケーションの機会。できれば全ての部下に高い評価を与える。
低い人事評価で部下を驚かすことがあってはならない。心の準備ができるように事前にサインを十分に送っておく。
低い人事評価の理由をクドクドと述べない。今後に期待していることを伝え、スキルアップの機会などを提案し部下を勇気づける。
社内政治は、悪ではなく必要なもの。ある種のツール。
社内のキーマンをしり、その権力範囲を知る。
自らがキーマンにとって有用な人材になる。キーマンにとっては、ギブ&ギブくらいの気持ちで。
具体的に実践こととして、少し仲良くなったキーマンには、とにかく情報を流す。
至る所で政敵を褒める。褒めることで敵が減るし、褒めている人を落としている人に人望は集まらない。
政敵を攻撃することは、知らず知らずのうちに、自分自身を攻撃していることになる。

4章 避けることができない9つの問題

問題1 問題社員が現れる

問題社員が現れた場合、課長としての能力を社内でアピールするチャンスでもある。
問題社員(能力が低い社員)でもできる仕事を見つけて与えてあげることが重要。こういう社員も含めて、成果を出していくという姿勢が評価につながる。

問題2 部下が「会社を辞める」と言い出す

まずは「どうして辞めたいか?」を理解する。
知らずに告げられた場合、これを把握するネットワークが作れていないことを課長は反省すべき。

問題3 心の病にかかる部下が現れる

男性よりも女性の方が、他者の異常に気付きやすいので、女性の方に最近不調そうな人いる?って聞いてみるのも手。

問題4~7はスキップ。海外の部下の話など。

問題8 昇進させる部下を選ぶ

部下を昇進させるときに決して曲げてはならないのは、イエスマンを選ぶのではなく、多少トゲがあっても必ず「本物」を昇進させるということです。

「本物」とは、個人的な利害ではなく、会社全体の利害を考えて会社を成長させることができる人物、
さらに従業員の皆をハッピーにするために、無私に優れた仕事をすることができる人物のことです。

問題9 ベテラン係長が言うことを聞かなくなる

こう言う場合は、係長と他を競わせると勝手に成果を出していってくれてうまくいく。

5章 課長のキャリア戦略

リーダーシップの本質は、価値観や雇用形態を超えて、周囲の多くの人々から「この人と一緒に仕事をしたい」と思われることにある。

戦略1 自らの弱点を知る

米国海軍の飛行訓練では「大胆不敵なパイロットは長生きできない」と教えられるそうです。キャリア戦略というと前を向いて前進するイメージですが、キャリア戦略の構築は、いつもバックミラーを見ること(振り返り)から始まります。

課長ぐらいになれば、これまでにこなしてきたルーティンワークも相当な数になるはずです。
そんな経験から、自分の典型的な「負けパターン」を洗い出しておきます。

自分の弱点を根本的に克服することは困難でも、同じ失敗はテクニックで回避できるからです。
基本的な仕事のスタンスは、大手柄を立てようなどと考えず、自らの負けパターンを知り、注意深くそれを回避しつつ、極力失敗を少なくするといった形であるべきです。
一般的に見られる負けパターンの入り口としては「怒り」の感情の処理が挙げられます。
この感情のコントロールが下手だと、ビジネスにおける成功を逃すのは確実です。
もう一つの典型的な負けパターンの入り口としては「自分の理解を過大評価する」ということが挙げられます。

手柄を独り占めしようとして物事を自分だけで進めることを常に避け、問題が複雑すぎるような場合は、時間稼ぎをしてでも、その問題を解決するのに最も適切な人物を探すことを躊躇わないということです。

戦略2 英語力を身につける

あなたの「典型的な1日」を思い出してください。その「典型的な1日」の中に、英語のトレーニングの時間が入っていないとするならば、非常に危険です。

戦略3 緩い人的ネットワークを幅広く形成する

コネの8割は弱い絆である。

戦略4 部長を目指す

自分の課を成長させて部に昇格させる。
自分に関わる周囲のお同僚に対して昇進を届けるという方法が、課長が部長になる王道だと思います。

戦略5 課長止まりのキャリアを覚悟する

昇進はもういいやと決断すると、想像以上に自由な発想で仕事ができるようになり、思わぬ好成績をあげて昇進することがある。

戦略6 社内改革のリーダーになる

キャリアを考えるのであれば、仮にそれが無駄だとわかっていても、それでも自社を変える努力をし、社内で改革のリーダーになるべきです。

戦略8 ビジネス書を読んで学ぶ

先人の知恵を借りる。